入門ビジネス・リーダーシップ


著者名 日向野幹也 アラン・バード 立教大学リーダーシップ研究所 編 金井壽宏 著(PartI-01担当)
タイトル 入門ビジネス・リーダーシップ
出版社 日本評論社 2007年12月
価格 2800円 税別

書評

立教大学に新しくつくられた経営学部では、グローバルにビジネスの場面で英語が使えるようにコミュニケーション能力をつけること、若いときからリーダーシップを発揮できるように育てること、など特徴をもった試みがなされています。わたし自身も、リーダーシップの研究に興味があるだけでなく、若いときからリーダーシップを発揮するようなひとたちの育成にも多いに興味があり、神戸大学経営学部の金井ゼミの場では、誇るべき達成(アチーブメント)があり、ゼミの場をきっかけにリーダーシップを磨きたいというゼミ生が集まってくれています。英語のほうも、わたしよりもはるかにうまい学生がたまにゼミに入ってくれて、盛り上がります。

だから、立教大学の日向野幹彦教授(立教大学)が、わざわざ神戸大学のわたくしの研究室に来られて、構想中の教育プログラムと、立教大学リーダーシップ開発センターの活動計画をお聞かせいただき、即座に興味をもちました。英語もさることながら、まず学部のリーダーシップ教育に。

さて、本書には元となったイベントがあります。2007年2月20日に「21世紀のリーダーシップ」と題して、午前中には、研究者のみの白熱した発表と議論、午後は、会場を変えて、より大勢の聴衆とともに、シンポジウムが行われました。そのときに、わたくしは、研究会にもシンポジウムにも参加させていただき、海外からのご報告ばかりでなく、立教大学の教員と立教大学リーダーシップ開発センターにかかわる実務家の方々のレベルの高い報告やコメントを聞かせてもらいました。非常に印象に残った日でした。ちょうど神戸大学でも、経営人材研究所(KIMPS)を立ち上げたばかりでしたので、同僚の高橋潔氏とともに、このような動きに注目していました。そのため、あとからわかったのですが、高橋氏の古くからのご友人、石川淳准教授(立教大学)からのお誘いがあったときに、この2月の会合に参加させていただく決心をしました。わたしが、基調講演をした「モティベーション持論とリーダーシップ持論」は、46頁という大部にもかかわらず、そのまま第1章に掲載してくださったことを喜んでいます。

しかし、この本の白眉は、大学でのリーダーシップ教育を考えるヒントと、マーク・E.メンデンホール教授(テネシー大学)を中心に展開されているグローバルに通用するリーダーシップの研究動向を知ることができることです。前者は、この国の若いひとにまずリーダーシップの実践に入門してもらうリソース、後者は、この国の管理職や経営幹部にグローバルに通用するリーダーにさらに育ってもらうためのリソースとなります。あわせて、この書籍には研究成果が披露されています。そういう方々とともに、わが国のリーダーシップ研究が飛躍すること、神戸大学もまた独自に経営人材と高度プロフェッショナルの育成についての研究と実践に大きな視点で躍進することを祈って、わたしが1章だけ貢献した書籍の紹介を終えます。手にとってみてください。不思議な本です。

目次

PartI リーダーシップとリーダーシップ開発
01 モティベーション持論とリーダーシップ持論
02 大学教育におけるリーダーシップ開発
03 リーダーシップ開発におけるプロジェクト型学習の効果
 

PartII 企業とリーダーシップ
04 ヒューマン・リソースからみたビジネス・リーダーシップ
05 「責任を果たす」グローバル・ビジネス・リーダー
06 ビジネスのグローバル化、ダイバーシティ・マネジメントとリーダーシップ
07 企業内研究者の創造性を促進するリーダーシップ
08 研究部門におけるリーダーシップの考察

PartIII グローバル・リーダーシップ開発
09 グローバル・リーダーのもつエキスパート的認知
10 グローバル・リーダー育成の課題への対応
11 グローバル・リーダーシップ開発
12 グローバル・コンピテンシー醸成のメカニズム
13 リーダーシップ理論・教育のグローバル化
14 グローバル・リーダーシップと研究ストリーム