Career Anchors and Career Survival


著書名 エドガーH.シャイン 著 金井壽宏 訳
タイトル Career Anchors and Career Survival 1 キャリア・アンカー-自分の本当の価値を発見しよう-
出版社 白桃書房 2003年6月
価格 1600円 税別

書評

長期的にどのようなキャリアを歩むかを気にせずとも、一生懸命がんばっていれば、やがて管理職になり、たいがいのことは組織任せでよかった時代もありました。10年、20年前には、キャリアについて深く内省したり、将来を構想したりするのは、まだ当時は稀だった転職者や起業者だけだったかもしれません。

しかし、時代が変わり、キャリア・デザインするという発想が特別のひとだけでなく、だれもの問題になってきました。自分の勤めている組織がすごく好きだというひとでも、自分のキャリアをまるごと組織任せにするようでは、自分らしく生きることができません。また、大企業も含め、組織というものがそれほど頑強なものでなく、壊れ去ることもあれば、これまでずっとひとを大切にしてきた会社でも、雇用調整をするようになりました。

いいキャリアを送るためには、自分の内なる声を聞くということと、自分の周りからの要請にうまく応えるということと、両方ができないといけません。前者がないと自分らしく生きることができませんし、後者がなければ、そもそもキャリアのなかで生き残っていくことができません。

ここにほぼ同時に出そろったキャリア3部作(トリロジー)のうち、2作は、この両者を扱っています。内なる声にかかわるのは、キャリア・アンカー、外からの声にかかわるのは、キャリア・サバイバルと呼ばれています。

このような状況にありながら、わが国では、キャリア・デザインを支援するツールや、キャリアにまつわる自分の状態や、自分がおかれた状況について、診断し議論するためのツールが少ないままでした。キャリア論の大御所のひとりであるMIT名誉教授のエドガー・H.シャイン教授のツールで少なくともひとつ(キャリア・アンカー)、日本語版がありましたが、業務用で一般には使えない状態が長く続きました。

この度、キャリア・サバイバルとともに、一般に使用できる形で、出版されたことを、原著者とともに喜んでいます。シャイン教授に直接お教えを受けた訳者として、3冊目の冊子を加えて、キャリア・アンカーという視点とキャリア・サバイバルという視点が、なぜ両方問われるべきなのか、それをうまく活用するにはどうすればいいのか、について書き下ろすことにしました。この3冊目の『キャリア・デザイン・ガイド』は、キャリア・デザインに関する前著(『働くひとのためのキャリア・デザイン』PHP新書)以降の考えの進展を示すものでもあります。あわせて、このふたつのツールの開発者であるシャイン自身の学者としてのキャリアと、それがその学説とどのようにかかわっているかについても述べました。

自分のキャリアについて将来構想のために振り返ってみたいひとにも、また、他のひとのキャリア発達を支援している教師、先輩、人事部、キャリア・カウンセラーのひとたちにも、この3部作がなんらかの意味をもっているものとしてこの国で広く受け入れられたら、うれしいです。

目次

序 章 本書の課題と構成(奥林康司 神戸大学大学院経営学研究科教授
第1章 NPOセクターと市民民主主義
第2章 企業とNPOのフォア・フロント -「NPOと経営学」その新しい課題-
第3章 福祉NPO固有の社会的機能とそれを可能にするためのマネジメント
第4章 病院経営の非営利的側面 -NPOとの比較から経営学的諸問題を検討-
第5章 NPOの経営学の構築-マーケティングを中心として-
第6章 NPOにおける経営管理の困難さについて

著書名 エドガーH.シャイン 著 金井壽宏 訳
タイトル Career Anchors and Career Survival 2 キャリア・サバイバル-職務と役割の戦略的プランニング-
価格 1500円 税別

目次


第1章 職務と役割の戦略的プランニング
第2章 職務と役割の分析とプランニング
第3章 ステップ1:現在の職務と役割を棚卸しする
第4章 ステップ2:環境の変化を識別する
第5章 ステップ3:環境の変化が利害関係者の期待に与える影響を評価する
第6章 ステップ4:職務と役割に対する影響を確認する
第7章 ステップ5:職務要件を見直す
第8章 ステップ6:職務と役割の戦略的プランニング・エクササイズの輪を広げる
第9章 結論と含意

著書名 金井壽宏
タイトル Career Anchors and Career Survival 3 キャリア・デザイン・ガイド-自分のキャリアをうまく振り返り展望するために-
価格 2100円 税別

目次

第1章 イントロダクション
第2章 内からの視点(アンカー)と外からの視点(サバイバル)
第3章 キャリアの捉え方とキャリア・サクセスの基準
第4章 キャリア発達のなかのアンカーとサバイバル -仕事や人生で一皮むける経験とトランジション・サイクル-
第5章 どの視点から見るか-働く個人、人事部、社会の視点-