ファイナンス型会計の探求


著者名 古賀智敏
タイトル ファイナンス型会計の探求
出版社 中央経済社 2003年12月
価格 3800円 税別

書評

本書は、プロダクト型市場経済からファイナンス型市場経済への経済構造の移行を受けて、金融商品を基軸とする会計のあり方について理論と制度の両側から総合的に考察することによって、企業会計が指向すべき具体的方向を探求しようとするものである。

20 世紀型企業モデルは、機械設備等の生産手段とそのアウトプットとしての商製品に焦点を置く製造業であった。それに対して、21世紀型企業モデルでは、情報技術(IT)の発達とともに、デリバティブ等の金融商品や技術・ノウハウ・特許といった無形資産が企業の価値創造のドライバーとして登場することになった。

このような背景を踏まえて、本書は、従来のプロダクトを中核とした会計の理論体系に対して、デリバティブ等の金融商品の特性に注目した新たな会計の理論構築を目指そうとするものである。

目次

第1部 ファイナンス型市場経済とファイナンス型会計

第1章 ファイナンス型市場経済と会計の枠組み
第2章 金融商品とファイナンス型会計のあり方
第3章 金融商品とファイナンス型会計の論点
第4章 金融商品包括的公正価値評価とヘッジ会計
第5章 クレジット・デリバティブと公正価値会計
第6章 ストック・オプションと公正価値会計-IASB公開草案とFAS123の比較・検討
第7章 売建プット・オプションと負債・資本の区分

第2部 ファイナンス型会計の国際的動向

第8章 アメリカにおけるデリバティブ会計の展開 -FASBデリバティブ会計プロジェクトを中心として
第9章 イギリスにおける金融商品会計の展開 -国際会計基準との比較・分析を中心として
第10章 ドイツにおけるデリバティブ会計の制度的基盤
第11章 フランスにおけるデリバティブ会計の動向
第12章 スイスにおけるヘッジ会計の動向

第3部 ファイナンス型会計の展望

第13章 会計基準のグローバル化と包括的公正価値会計 -主要先進諸国JWGドラフト基準を中心として
第14章 デリバティブと会計の認識基点