これが答えだ!-部下の潜在力を引き出す12の質問-
著者名 | カート・コフマン ゲイブリエル・ゴンザレス=モリーナ 著 加賀山卓朗 訳 金井壽宏 解説 |
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タイトル | これが答えだ!-部下の潜在力を引き出す12の質問- |
出版社 | 日本経済新聞社 2003年7月 |
価格 | 1800円 税別 |
書評
本書は、世論調査で有名なギャラップ社が、よい職場、従業員にも顧客にもよい職場とはどのようなものかということについて、膨大な調査をふまえて記述した書籍である。これまでも、ギャラップ社の試みが何冊か出ていて、邦訳もなされてきたので、いわば連作の集大成という面がある。われわれは、経営学でのサーベイ(質問票調査)で、何千票もあれば規模の大きい調査だと思う。わたしがタッチしたいちばん大きな調査でも、たかだか1万の原票だった。ところが、この本では、1300万人を越す調査データから、結論が導き出されている。学者が部下にも顧客にもよい職場や会社の調査をするなら、まず質問調査票の設計段階から、さまざまな理論的視角を持ち込んでしまう。それは、決していちがいにわるいことではないのだが、結局言いたいことを言うための調査になってしまう。その点、ギャロップ社は、世論調査で鳴らした会社なので、理論よりも実際の姿を選ぶのに目的をしぼっている。そこから、業績にもっともよく効く12の質問(Q12)や、顧客の感動につながる11の項目(CE11)、個人の才能の所在(34のストレングス)などといった項目が見つけだされ、それらの意味づけがなされた。原著のタイトルは、Follow This Pathなので、『これが答えだ』でもいいが、「こうすればいいよ」という意味合いの指南書だ。成果につながるパスは、著者によれば、そう複雑ではない。また、それらの進行度を探る質問もよく整備されている。しかも、実に少数の質問に、最終的には絞り込まれている。これからは、職場の風土について測定・診断する際に、ほかの尺度を採用していても、許されるならQ12も併用してみたいと思うのはわたしだけだろうか。自分の職場や、自分の行動、自分の会社全体の雰囲気を念頭に、読んでもらうのがいちばんいいだろう。
目次
はじめに
序 章 優れた企業への道
第1章 心が経済を動かす
第2章 社員の才能に目覚めよう
第3章 才能の組み合わせが企業を成長させる
第4章 心の結びつきを目指して
第5章 社員の熱意を高め、管理するために
第6章 心の経済学―社員編
第7章 顧客を満足させる重要な鍵
第8章 愛着をもたらす心の状態
第9章 顧客の愛着を深め、管理するために
第10章 心の経済学―顧客編
第11章 心で結ばれた企業を作るために
おわりに 世界をまったく新しい視点で見てみよう