入門 人的資源管理
著者名 | 奥林康司 編著 |
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タイトル | 入門 人的資源管理 |
出版社 | 中央経済社 2003年5月 |
価格 | 2800円 税別 |
書評
人的資源管理は、企業組織の中で人々が効率よく働く仕組みを示す言葉である。従来は、経営労務、人事労務管理、あるいは労使関係等と呼ばれていた。しかし、21世紀に入り、わが国においても、従来の終身雇用・年功賃金を基本とする仕組みとは異なる考え方や制度が普及してきている。そこで、この新しい働く仕組みを示すものとして、言葉も新しく、「人的資源管理」とした。
本書は、この人的資源管理の新しい考え方や制度を解りやすく解説した教科書である。同時に、人的資源管理の教科書が多くある中で、神戸大学で学んだ研究者が集まり、最新の知識を体系的にまとめたものである。教科書とはいえ人的資源管理に関する古典的知識と新しい知見を体系的にまとめたものである。教科書とはいえ人的資源管理に関する古典的知見と新しい知見を体系的にまとめるため、執筆者が約3年間をかけてその内容を吟味し、互いに修正し合いながら完成させたものである。教科書として長く愛読されることを期待している。
本書の内容は、次のようにまとめられる。
第1 部人的資源管理の役割では、人的資源管理の学問上の特徴を示している。第1章においては、人的資源管理が従来の経営労務や人事労務管理とどのように異なるかを明らかにしている。第2章では、企業経営のなかで人的資源管理がどのような役割を果たしているかを企業経営の基本から説き起こして解説している。
第2 部職場におけるヒトの動きでは、作業現場で問題になる点に焦点を当てて解説している。第3章人的資源管理の仕組みでは、ヒトが働くときのモチベーションとは何かを明らかにし、第4章では現場管理者を意識したリーダーシップのあり方を説明している。第5、6章は職務設計や組織設計の考え方を示している。これは、職務や組織構造の設計の仕方がそこで働く人々の行動を大枠で規定しているという考え方に基づいている。この第Ⅱ部は組織行動論や組織論で説明される部分であるが、本書ではそれを人的資源管理の内容に含めている。
第3 部人的資源管理の仕組みでは、人的資源管理の諸制度を取り上げ、その職能を順番に説明している。雇用管理からはじまりキャリア開発、賃金制度の前提となる人事考課制度、昇進の新しい形態としての専門職制度、福利厚生制度から労使関係までをカバーしている。これらは人的資源管理本来の制度であり、その歴史も含め詳しく説明している。
第4部では新しい勤労スタイルとして、人的資源管理で今日話題になっているテーマを取り上げた。しかもそれを話題となっている勤労者グループ別にまとめてみた。そこでは女性労働者、高年齢労働者、研究開発技術者を取り上げている。
目次
第1部 人的資源管理の役割
第1章 人的資源管理の生成
第2章 企業経営と人的資源管理
第2部 職場におけるヒトの動き
第3章 働く動機づけ(モチベーション)
第4章 ヒトを動かす(リーダーシップ)
第5章 職務設計
第6章 組織設計 (上林 憲雄 神戸大学大学院経営学研究科助教授)
第3部 人的資源管理の仕組み
第7章 雇用管理
第8章 キャリア開発 (平野 光俊 神戸大学大学院経営学研究科助教授)
第9章 人事考課制度
第10章 専門職制度
第11章 賃金制度
第12章 福利厚生制度
第13章 労使関係
第4部 新しい勤労スタイル
第14章 女性労働者
第15章 高年齢労働者
第16章 研究開発技術者