中小企業が再生できる8つのノウハウ
著者名 | 忽那憲治 |
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タイトル | 中小企業が再生できる8つのノウハウ |
出版社 | 朝日新聞出版 2010年4月 |
価格 | 1500円 税別 |
書評
私はこれまで、「資金調達に苦しみ、資金調達難から新たな取り組みを断念しようか」と葛藤している中小企業の姿を数多くみてきました。特に、2008年のリーマンショック以降は売上も大きく落ち込み、「新たな取り組みどころではない」というのが中小企業の皆さんの正直な思いかもしれません。そのような多くの思いを踏まえ、あえてタイトルに「再生」という言葉を用いました。
本書がめざすのは「新たな取り組みを断念せざるを得ないとさえ思える状況からの再生」の後押しです。そんな再生の実現には、現場の力が必要不可欠です。だからこそ、本書のタイトルを「中小企業を再生する」ではなく、「中小企業が再生できる」としました。
「中小企業を」とすると「外部の人間が再生を手がける」というふうに「外部頼み」のノウハウだととらえられる可能性があると思ったのです。それは、ノウハウ5で否定している「銀行頼み」の姿勢にも通じます。そうではなく、「中小企業が」という表現に、「中小企業自らが取り組む再生を後押ししたい」という思いを込めました。
本書では、私が知り合った中小企業の中から、読者の方々にとって参考になると思う事例を11社紹介しています。事業が順風満帆という企業ばかりではありませんが、言えることは、「すべての企業が課題を正面から見据え、自己改革に挑戦している」ということです。現在のような事業・金融環境下でも、厳しい環境などどこ吹く風といった、高成長中小企業は確かに存在します。また、厳しい環境に新たなビジネスモデルで果敢に挑戦している中小企業も多数存在します。
これから語っていく内容は、単なる1社の成功物語ではありません。こうした事例から中小企業が成長する-ひいては再生する-ために必要な、共通する取り組みのあり方やノウハウを学ぶことができます。私がこれまで出会い、本書でも事例として紹介しているいくつかの企業をみるとき、そうした高成長企業は「ビジネスモデル」「資金調達方法」「人材」などの面でとても興味深い特徴を持っています。それらが、目次で「ステップ1・2・3」を確認していただければおわかりいただけるとおり、本書で紹介するノウハウの下敷きになっています。あなたも、本書で示したステップやノウハウに沿って、階段を一段一段上るがごとく、確実かつ果敢に「再生」に向けた挑戦の第一歩を踏み出してみませんか。
目次
序章 「中小企業再生」を可能にする3つのプロセス
【コラム1】中小企業の経営を脅かす「不確実性」
プロセス1 「ビジネスモデル」を練り上げる
第1章 ノウハウ1 ビジネスモデルの「競争力」をチェックする
第2章 ノウハウ2 製品・サービスの「改善点」を明らかにする
第3章 ノウハウ3 ビジネスモデルに潜む「リスク」を分析する
プロセス2 「資金調達」を可能にする
第4章 ノウハウ4 ビジネスモデルにもとづき「事業計画」を立てる
第5章 ノウハウ5 銀行頼りの「資本構成」を見直す
第6章 ノウハウ6 「投資家」に説明できる事業計画にする
【コラム2】アメリカの中小企業の資金調達
プロセス3 事業計画を「実行」する
第7章 ノウハウ7 「事業推進のナビゲーター」を育成する
第8章 ノウハウ8 成長に必要な時間を買うために「M&A」する
終章 中小企業の成長なくして、日本経済の成長なし
【コラム3】高成長中小企業の特徴は世界共通