生命保険ダイナミクス


著者名 久保英也
タイトル 生命保険ダイナミクス
出版社 財経詳報社 2003年4月
価格 2300円 税別

書評

本来、銀行以上に磐石な健全性と厳格な監督により、破綻するはずのない生命保険会社が数多く破綻した日本の生命保険業界。破綻せずともいわゆる逆ザヤに悩む姿は、世界の多くの巨大金融グループで主導権を発揮している保険業界とは大きく様相を異にする。

本書は、この内外格差の要因を知り、日本の生命保険会社の課題と将来展望ができるように、国際比較を多用した入門書の形態をとっている。ただ、テーマによっては、切込みが深く、たとえば、ソルベンシーマージン基準の有用性等マスコミを通じた皮相的な諸主張に対して、本当に必要なものは何かについても言及している。

専門性が高く、とっつきにくい生命保険業であるが、これを正面からとらえ、冷静に分析したい人にふさわしい基本書である。

目次

第一部 基礎編:生命保険実務
第1章  生命保険業の概要
第2章  生命保険の歴史
第3章  生命保険実務の基礎
第二部 応用編:生命保険経営「生命保険会社を立ち上げる」
第1章  過去のアメリカ生命保険業界の試練から学ぶ 
第2章  監督規制と資本政策から経営を組みたてる
第3章  株式会社でいくか相互会社でいくか 
第4章 消費者保護でアドバンテージ
第三部 生命保険展望:成長性の高い生命保険業 
第1章 市場を熟知する
第2章 社会保障制度の見直しが私的保障を拡大 ―欧州における年金改革が示唆するもの
第3章 保険は最先端の金融取引
第4章 結び