なぜあの人は「イキイキ」としているのか-働く仲間と考えた「モチベーション」「ストレス」の正体
著者名 | 加護野忠男(まえがき) 金井壽宏(解説) 人と組織の活性化研究会 |
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タイトル | なぜあの人は「イキイキ」としているのか-働く仲間と考えた「モチベーション」「ストレス」の正体 |
出版社 | プレジデント社 2007年12月 |
価格 | 1238円 税別 |
書評
この書籍は、神戸大学を場に、議論を重ねてきた研究会から生まれた書籍です。仕事でイキイキしているひとの特徴はどこにあるのか、どうしてそういうひとはイキイキしているのかについて、各章ごとにユニークな視点から調査を踏まえつつ、実践的に描かれています。そこで扱われるテーマは、各章の担当が自分の経験に照らし合わせて、さらに、インタビューをしたひとの生の声やアンケートに基づいて考察されています。本書で取上げられているのは、たとえば、次のようなテーマ。
・30歳の節目を乗り切る
・ところを得ることで成長する
・ふっきれることでイキイキを取り戻す
・落ち込みやイキイキを自己制御する
・イキイキを連鎖させていく
・ストレスや疲労に対処する
・人事がイキイキをもたらす
・働き甲斐だけでなく暮らし甲斐を大切にする
全体を通じて、イキイキには変動があり、それを自分なりにどのように自己調整するのが可能かについて、アイデアが示されています。基本にある発想は、「いつもずっとイキイキしているひとはいない」ということで、だれもが落ち込むことがあっても、腐り続けず、必ず弾力性を発揮して持ち直している点がポイントです。
そもそも、この書籍が世に出るきっかけとなったのは、人と組織の活性化研究会という場での議論で、スタート時点からサポートされたのは、加護野忠男教授で、また、成果を書籍で世に問うべきだということで出版社とつなげてもらったのも同教授で、あわせて一言、紹介の言葉をもらっています。(金井壽宏)
書籍のまえがきにも書かせてもらいましたが、平成10年からわたしが神戸大学経営学部長をしていたころにスタートした研究会からの成果です。中核となった発起人と初期からの参加者が熱心で、かつ多様な参加者が出入りするようになり、ただ議論を重ねるだけでなく、現代経営学研究所と神戸大学大学院経営学研究科との共催で開催しているワークショップという研究会の場で報告してもらったり、また、金井さんの薦めもあり経営行動科学学会という本格的な学会の場でも発表したりしてきました。
これまでの議論のエッセンスが、このように広く読まれる形で世に出たことを、活動の初期に関わった人間として素直に喜んでいます。そのエッセンスとは、一言でいえば次のとおりです。だれだって落ち込むことはある、それはそれでいい。必ずまた好転するし、好転の仕方のうまいひと、支えを得るのがうまいひとがいる。イキイキを好転させるやり方は多種多様だが、各章にそのヒントがある。節目をくぐっていると意識すること、ところを得るように目指すこと、無理せず吹っ切れる状況を作り出すこと、落ち込みそのものを制御する技にこだわってみること、ストレスをよいストレスに転化させること、イキイキの連鎖の輪に入っていったり、うまくメンターやコーチを頼りにできる状態に自分をもっていったりすること、プライベートライフから盛り上げることなど、道はあるのだ。(加護野忠男)
目次
まえがき
第一章 三〇歳はきちんと落ち込め!
第二章 一人で成長できますか
第三章 「ふっきれる」ための技術
第四章 「落ち込み」を制御する
第五章 仮説「イキイキは連鎖する」
第六章 ストレス、疲労、恐るるに足らず
第七章 「ひと」を活かす人事
第八章 働き甲斐と暮らし甲斐
解説