だから若手が辞めていく-ミドルがカギを握る人材「リテンション」の可能性
著者名 | ダイヤモンド社 編 金井壽宏 著(column担当) |
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タイトル | だから若手が辞めていく-ミドルがカギを握る人材「リテンション」の可能性 |
出版社 | ダイヤモンド社 2007年9月 |
価格 | 1000円 税別 |
書評
入社後短い年数の間に辞めていく若手の存在が議論になることが増えました。元々、辞めないことが常態だった時代には、リテンションという言葉などありませんでした。A&R(アトラクションとリテンション)という言葉は、せっかく入った優秀なひと、きちんと目利きしたひとに辞めてもらわないように、魅力を提供し、そこで働き続けてもらうための施策のことをいいます。
この問題を探るために、一方で、ダイヤモンド社が調査とヒアリングをおこない、他方で、それに基づき、若手ができれば簡単に辞めないようにするために、ミドルになにができるかに、焦点をあわせたプログラムや教材を開発する予定があります。本書はその先駆けとなる書籍で、わたしは残念ながら、コラムに短く登壇させてもらっているだけです。
同じコラムに登壇している小樽商科大学の松尾睦助教授は、そのために綿密で深いインタビュー調査をされていますが、わたしは、これまでの持論の紹介に終わっています。『働くひとのためのキャリア・デザイン』(PHP新書)でも議論した、よいガマン、わるいガマンという議論です。
わたしは、わるいガマンはしないほうがいいので、辞めるわけがあって辞めるのを止める気はありません。しかし、もうちょっとがんばれば、面白くなっているという前に、辞めてしまうのはおしいと思います。いいガマンというのもあると思っています。
この書籍そのものは、シリアスな調査研究というより読み物ですが、このプロジェクトそのものに興味をもたれたらお読みください。わたしも、あとから生まれるプログラムや教材にいっそう興味をもっています(そちらは、一般の目にはふれず、人事のひとだけがみるような産業財になってしまうと思いますが)。
目次
第1章 すれ違う会社と若手
第2章 仕事は好きだが、会社は嫌い
第3章 消極的残留組のホンネを見抜く
第4章 そうは言っても、ミドルは大変
第5章 人を育てる土壌づくり