仕事の裏切り-なぜ私たちは働くのか
著者名 | ジョアン・キウーラ 著 中嶋愛 訳 金井壽宏 監修 |
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タイトル | 仕事の裏切り-なぜ私たちは働くのか |
出版社 | 翔泳社 2003年11月 |
価格 | 2800円 税別 |
書評
やや誤解を招くタイトルだが、原著が出版されて以来、大勢のひとに「これは深いし、興味深い」と紹介してきた本が、やっと日本語で読めるようになった。いい本を見つけたと思って出版関係の方々に吹聴しても、陽の目を見るとは限らない。だから、すぐれた翻訳者と理解のある出版社が見つかって嬉しかった。
著者のキウーラは、哲学、倫理学、歴史、経営学を修めたユニークな著述家だ。働く意味を考えるのに、通常よりも、深く、また時間的にも長い歴史を念頭に、しかし、現代に生きて働くわたしたちにとっての含みを語ることができたのは、この著者のバックグランドのおかげだ。
ギリシャ、中世、近代、産業革命以後、労働観、仕事観がどのように推移してきたのか、現在の企業経営や人事のなかでそれは今どのような意味合いをもっているのか、探りたいひとには格好の書物であるが、監修者として、わたくしはあえて、キャリアの節目にとまどう方々や、そういうひとたちを支援したいと思う人事部や経営者の方々に、これを読んでほしいと思う。
なぜなら、こういうきっかけとなる深い書籍がないと、この変革期に働く人びとになにができるか考えるときの思考が、つい近視眼的、即効薬的になってしまうからだ。
監修者として、読みやすく的確な邦訳になるように作業しただけでなく(中嶋さんという緻密で丁寧なブックラバーを訳者にえたことは、原著者にとっても幸いであった)、やや長めの監修者解説を書かせていただいた。自分の働き方、生き方に照らし合わせて、読んでいただけたらうれしい。
目次
第1部 仕事の意味
第1章 なぜ、私たちは働くのか
第2章 仕事とは何か
第3章 呪いから天職へ
第4章 ロマンチックな幻想
第2部 他人のための仕事
第5章 仕事と自由
第6章 労働者を飼い馴らす
第7章 いかにして、仕事はかくも複雑になったのか
第8章 希望の職場
第3部 仕事と人生
第9章 裏切られたホワイトカラー
第10章 時間
第11章 余暇と消費
第12章 「さらなる何か」を求めて