巨大リスクの証券化 -代替的リスク移転・ARTに関する考慮-

要約

稀有確率で大損害をもたらす巨大リスクには「大数の法則」があてはまりにくいため、伝統的な保険制度では対処が困難であった。だが、近年の金融工学の進展でこの問題が解決されつつある。本稿では、世界的規模のJA共済の地震債券と世界で最初に自家発行されたオリエンタルランドの地震債との構造を解析する。その結果、両者に共通する属性として、「償還停止条件付きの金融債」を抽出する。やや詳しくいえば、一方で、地震債の発行母体は、金融債のライターかつプットオプションのホルダーのポジションをとり、他方で、その購入主体は金融債のホルダーかつプットオプションのライターのそれをとることを指摘する。

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高尾厚

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