組織モードの変容と自律型キャリア発達
要約
本研究の目的は、第 1 に近年企業で行われるいくつかの自律型キャリア支援施策が、組織モードの変容によって生じる本社人事部とラインの間にある個人情報の非対称性問題の統制行動であることを、情報通信メーカーに対する事例分析のもとに明らかにすることである。
第 2 に、自律型人材の特性を仮設した質問表を作成し、その特性を測定する尺度を導出することである。アンケート対象は製薬企業に勤務する 30 歳のホワイト・カラーである。 2 つの調査からから明らかになったのは以下の通りである。
( 1 )情報システム特性の集中化に対応して人事管理特性は分権化する。
( 2 )具体的には職務等級制度の導入によって人事権はラインに分権化し、それに応じて個人情報の非対称性は拡大する。
( 3 )本社人事部は個人情報の非対称性の統制のために自律型キャリア支援施策を導入する。
( 4 )自律型人材になるためにはキャリアの「分化に応じた統合」が必要であり、統合の程度は「回顧」と「展望」の 2 次元によって構成され、その下位尺度は、 (1)節目の認識、 (2) 教訓の獲得、 (3) 意味づけ、(4) 目標、 (5) 自己効力感、 (6) 役割期待の明瞭さ、である。
キーワード
個人情報の非対称性、組織モード、補完関係、自律型キャリア発達、キャリアの分化と統合
著者 | PDFへのリンク |
---|---|
(358.3KB) |