中国企業の国際化のアジア生産調達ネットワークへのインパクト -マレーシアと中国の貿易関係と相互直接投資-
要約
マレーシアの対中貿易額は2002年にシンガポールのそれを超え、東南アジアのなかで中国の最大の貿易相手国になった。また、中国製品の東南アジアへの流入拡大が注目されるようになったと同時に、中国企業の東南アジア進出も話題にのぼるようになった。
改革開放政策のもとで、1979年からの約20年間、国内市場での厳しい競争を勝ち抜いてきた中国企業は、2000年ごろから世界経済のグローバル化の流れに乗って新たな成長空間を求めて海外市場にも積極的に進出するようになった。全体的にみて中国企業の海外直接投資あるいは中国企業の国際化はいまだに初期の段階にあるが、グローバル化の潮流のなかで、ほかの国の初期段階にくらべてその海外直接投資の増加スピードはかなり速い。一方、東南アジア市場において、日本企業にとっても中国企業のプレゼンスが目立つようになっているものの、その実態は明確ではない。
本章では、マレーシアと中国の貿易と直接投資に焦点を当てて、まず第1節で両国間の貿易関係を取りあげ、その構造的変化、現状および課題について分析する。第2節では、両国間の海外直接投資(FDI)の推移と特徴を概観する。第3節では、両国間の直接投資の実態を明らかにするため、代表的な企業をとりあげてケース・スタディを行い、両国企業が相手国市場で直面している問題を明らかにしたい。
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