2007年問題と日本企業の協働力・組織力 -「技術・技能・ノウハウの継承に関する調査」から読みとれるもの-

要約

団塊世代の大量退職に伴って、後代への技能やノウハウの伝承に不連続性が発生するいわゆる「2007年問題」が世間の耳目を集めるようになって久しい。しかしこの技能継承の問題は、社会的関心が高い割には、現場発の実証データとしてまとまった形での情報発信はこれまで必ずしも行われてこなかった。このため、日本企業の従業員が培ってきた固有の技術・技能やノウハウがどのような実態をもつものなのか、あるいはそれらを伝承するにあたって現場でどういった具体的問題が発生しているのかについては”漠”とした感があり、議論しようとしても”机上の空論”に終始することがこれまでは多かった嫌いがある。
このたび近畿地区の連合と経営者協会とが共同で実施した「技術・技能・ノウハウの継承に関する調査」は、このような研究の間隙を埋めるべく、製造・非製造のさまざまな業種にわたる2,234社もの技能伝承に関するデータを収集した貴重な調査データである。本稿では、この調査の概要の紹介とそこから何が読みとれるか若干の分析を行い、今後の日本企業にとっての検討課題を探ってみることにしよう。

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上林憲雄

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