利益発表と投資家の株式売買行動に関する実証研究

要約

先行研究では、企業の利益発表などの時点において株式市場の出来高が有意に増加するかどうかが調査されてきた。それに対して、我々は、株式市場で約定されたそれぞれの取引を2つの観点から分類した上で、利益発表日周辺の投資家の株式売買行動を詳細に調査した。1番目に、我々は、それぞれの取引を「買い手が主導した取引」と「売り手が主導した取引」に分類した。このことは、出来高についても株価と同様に「方向性のある尺度」として分析することを可能にする。2番目に、我々は、それぞれの取引を「小口取引」と「大口取引」に分類した。このことは、限定された分析能力や情報量でもって零細な資金を運用する「個人投資家」とそうでない「機関投資家」の株式売買行動の違いを識別する可能性をもつ。したがって、我々の研究は、利益発表に対する投資家の株式売買行動について従来の研究とは異なる視点から実証分析を展開しており、大きな意義を有する。

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音川和久

若林公美

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