株価乗数モデルに基づく企業価値評価:サーベイ

要約

本稿は,株価を利益で割算した株価利益倍率(Price-to-Earnings Ratio: PER)や株価を株主資本簿価で割算した株価株主資本倍率(Price-to-Book Ratio: PBR)などの株価乗数を用いた企業価値評価について,関連する先行研究をサーベイすることである。概念上,株価乗数モデルに基づく企業価値評価は,配当割引モデル(DDM),割引キャッシュフロー・モデル(DCFM),残余利益モデル(RIM)などの割引現在価値法と比較して単純である。しかし,実際に株価乗数モデルを適用して企業価値を算定するためには解決しなければならない問題も多い。たとえば,企業価値のバリュー・ドライバーとしてどの指標を選択するか,比較対象企業としてどの企業を選択するかなどは極めて厄介な問題である。そこで,本稿は,株価乗数モデルを実際に適用して企業価値評価を行う場合の指針となるような実証研究をレビューする。

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音川和久

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