「創造性喚起のための人材マネジメント調査」および「開発部門の創造性を支援する人材マネジメント調査」の結果報告

要約

日本企業の人材マネジメントは,雇用形態の多様化や成果主義など様々な局面で大きく変化しています。かつて80年代に競争力の源泉として世界の耳目を集めたものの,90年代には一転して硬直的な時代遅れのシステムであると批判され,現在もなお評価の定まらない日本の人材マネジメントの行き着く先はどこなのかでしょうか。現下の経済収縮のインパクトは日本の人材マネジメントの仕方にどのような影響を与えるのでしょうか。わが社の人材マネジメントの「変えるものと変えてはならないもの」をどのように識別して今を乗り切ればよいのでしょうか。なかでもバリューチェーンの最も重要なアクティビティである製品開発あるいは事業開発,ビジネスシステム開発,業態開発を担う開発部門の創造性を引き出し,パフォーマンスを高める人材マネジメントのあり方を探求することが求められています。
この解答を得るには,人材マネジメントの現下の状況を丁寧に捕捉するとともに,「日本的」人材マネジメントの制度的叡智と人事部の役割を再確認することが肝要となるに違いありません。この問題の重要性にもかからず,それを正面切ってとりあげる体系的な調査は,これまで十分に行われておりません。
かかる状況を踏まえ,神戸大学大学院経営学研究科,経営人材研究所(KIMPS),および社団法人 日本能率協会(JMA)は共同で,1)人事部長を対象とした「創造性喚起のための人材マネジメント」」と,2)開発部長を対象とした「開発部門の創造性を支援する人材マネジメント」に関わるアンケート調査を行いました。質問紙はそれぞれ5,000社に郵送し、結果として365社の人事部長と321社の開発部長の回答を得ました。
質問の多くは人事部長用と開発部長用とも文言の統一を図るなどパラレルに設定し,両者の差異についても比較できるように工夫しております。人材マネジメントが組織にいったいなにをしてくれて,結果としてなにをもたらしているのかについて,人事部長自身が自部門の役割について,創造性が肝要である部門の代表として,開発部長が人事部の役割について,創造性との関連において,どのように捉えているのか,これがこの調査が解明したいことです。
本報告書では,この2タイプの質問紙から成る調査の結果から,日本企業の人材マネジメントの現下の状況を報告するとともに,開発部門の創造性を支援する人事部及び人材マネジメントのあり方の検討を施しました。

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神戸大学大学院経営学研究科

経営人材研究所(KIMPS)

日本能率協会(JMA)

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