安全の社会的形成と組織プロセス

要約

技術システムの安全形成に関する理論的枠組みにおいて、技術システムと組織との関係について整理しておく必要がある。本稿では、その理論的基軸をもとめて、主要な先行研究を吟味した。そこには、技術システム特性を実在として把握し、組織との関係を論じる本質主義的アプローチと、技術システム特性は、組織プロセスによって構築されるとする構築主義的アプローチが見出された。これらを吟味したうえで、決定論を回避できる後者のアプローチを基本にしつつも、技術システム特性と組織特性の具体的関係についての前者のアプローチからの多くの示唆を生かすことのできる「技術の構造化モデル」が安全形成の理論にもたらす有益性を明らかにした。このディスカッションペーパーの修正版は国民経済雑誌第201巻第3号『技術システムの安全と組織理論』として公刊される。

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原拓志

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