日本人移住者の組織形成・維持能力に関する考察-南米ボリヴィア国、「サンファン農牧総合協同組合」の事例から-

要約

多くの日本人移住者が定住するブラジル、ペルーなどの南米諸国において、現地の人々は一般的に「日本人は組織力が高い」であるとか、「日本人は組織運営に長けている」という通念を抱いている。本稿においては、これらの通念を足掛かりに、ボリヴィア共和国において継続的な組織活動に従事している日本人移住者の組織的取組、及び、ボリヴィアにおいて継続的な組織活動に従事できない現地農業者の組織的取組に関する二つの事例を取り上げ、その探索的かつ理論的な検討を行う。その際、一般的に日本人の特質とされてきた「集団主義」にこのケースの説明を求めるのではなく、Fukuyama F.(1995)、Ouchi W.G.(1981)等が組織の編成原理として用いる「信頼」という概念を取り上げ、日本人移住者は「どのように組織を形成し、なぜ継続的な組織活動に従事できるのか」という点を明らかにし、一般的通念の理論的検討を行うこととする。

キーワード: 信頼、協同組合、危機的状況、犠牲、状況の英雄

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浅野茂

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