特別損失の計上頻度と将来業績の関連性

要約

本稿の目的は、特別損失の計上頻度と将来業績との関連性について分析することである。本稿では、1) 特別損失の計上頻度と将来の経常利益変化との関係、2) 特別損失の計上頻度と当期の株価形成との関係、および3) 特別損失の計上頻度と将来の株価形成との関係という3つの視点から分析を行った。その結果、本稿では以下の発見事項を得た。第1に、過去に特別損失を高頻度で計上した企業は、1度も計上していない企業と比較して将来3期間に経常利益変化が正となる傾向にある。第2に、過去における特別損失の計上頻度と当期の株式リターンとの間に有意な関連性は確認できない。そして第3に、過去に特別損失を高頻度で計上した企業は、決算の3ヵ月後から24ヶ月間および36ヶ月間の株式リターンが有意に正となる。以上から、特別損失の計上頻度は将来の経常利益変化および株式リターンを予測するうえで有用である可能性が確認された。

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北川教央

小谷学

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