シャープ株式会社「ヘルシオ炊飯器」の開発
要約
本稿では,シャープ株式会社(以下,シャープ)が2012年10月に発売した電気式ジャー炊飯器「ヘルシオ炊飯器」(KS-PX10A/KS-GX10A)の開発について述べる。ヘルシオ炊飯器は,炊飯器のふた部分に「かいてんユニット」と呼ばれる機構が設置されており,お米の洗いムラと炊きムラを抑え,「健康とおいしさ」を両立する炊飯器である。炊飯器市場では,2006年以降,実勢売価が7万円から10万円前後の高級炊飯器が販売を伸ばしていた。シャープは,ヘルシオ炊飯器をもって,この高級炊飯器市場に参入したのである。本稿では,先行して形成されつつある高級炊飯器の市場へ参入するにあたって,シャープの開発関係者が環境をどのように認識し,開発しようとする製品のコンセプト・設計へと反映させていったのか,そのプロセスについて検討を行った。
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