神戸大学大学院経営学研究科/経営学部では、ここでこれまでに皆様から寄せられてきた疑問についてお答えします。ひとつひとつの質問に個別にお答えすることはできませんが、数の多い質問については順次お答えをする予定です。

(Last Updated:2019.9.18)

Q1: 経営学と経済学の違いは何ですか。

A1: この質問について本学の経営学研究科(経営学部)の安部准教授服部教授からの解説をご紹介します。

Q2: 奨学金の制度はありますか。

A2: 神戸大学の本部の奨学金制度ページまたは構内の学生掲示板で多くの奨学金情報が提供されています。申込書等は学務部学生生活課に問い合わせて下さい。

Q3: どんな資格がとれるのですか。

A3: 経営学部を卒業しただけでは資格を得ることはできません。しかし、いくつかの資格試験に役立つ講義が提供されています。

Q4: 公認会計士・税理士になりたいのですが。

A4: 公認会計士・税理士になるには国家試験に合格する必要があります。経営学部を卒業しただけでは公認会計士の資格を得ることはできませんが、公認会計士国家試験の準備に役に立つ授業を提供しています。いわゆる「会計専門職大学院」は設置していませんが、経営学部を卒業するまでに国家試験に合格しようとする人のために、学部教育の一環として「会計プロフェッショナル育成プログラム」を実施しています。

Q5: 他学部の授業を履修することはできますか。

A5: 六甲台キャンパスの経済学部、法学部のほとんどの講義の履修は可能です。ただし、他学部の外国書講読、演習、研究指導など一部の講義は履修することができません。また、経済学部、法学部以外の学部(医学部を除く)の講義を履修することも可能です。取得した単位は、卒業要件単位の一部として認定されることがあります。ただし、他学部の講義を履修するには、その講義担当教員の許可が必要となることがありますので注意が必要です。

Q6: 留学したいと考えているのですが。

A6: 神戸大学留学生センターページまたは経営学部の構内掲示板で多くの情報を得ることができます。経営学部は海外のいくつかの大学と交流協定を結んでいます。海外留学中に提携校で取得した単位の多くは卒業単位として認定されますが、経営学とは関連の薄い講義に関する単位については卒業単位として認定されないことがありますので、注意が必要になります。

Q7: 経営学部に入学後、数学的能力を活かすことができるのでしょうか?

A7: 経営学は応用学問的な色彩が強く、必要となる素養や基礎能力も分野によってさまざまです。相対的に英語能力等の語学力が重要とされるような領域もあれば、逆に数学能力の方がより重要な領域もあります。それは一言で言うと、「モデル」を使って経営をはじめとした社会経済現象の分析をしようとしている分野、ということができます。

さて「モデル」とは何でしょうか。皆さんは、例えば不作になれば野菜の値段が上がるということを何となく知っていることでしょう。これは「野菜の出来高という変数が減少すれば、野菜の値段という変数が増加する」という形に言い換えることができます。このように、ある状況を変数で表現したものがモデルなのです。

モデルは、日常使う言葉でも表現できますが、数式で表現することに特別な意義があります。例えば、今述べた野菜の出来高と値段のモデルを、中学校の数学で習う

y = a/x   (x: 野菜の出来高、y: 野菜の値段、a: 定数)

という数式で表したとしましょう。すると、それを日常の言葉で「野菜の出来高という変数が減少すれば、野菜の値段という変数が増加する」と表現するのに較べて、いろいろな意味でより優れています。第1に、それを簡潔に表現できます。第2に、それを正確に限定的に表現できます。限定的というのは、同じ「野菜の出来高という変数が減少すれば、野菜の値段という変数が増加する」モデルでも

y = a – x   (x: 野菜の出来高、y: 野菜の値段、a: 定数)

とは違う、特定の状況であることがハッキリします。第3に、第2で述べた正確で限定的であることのおかげで、そのモデルが現実の通りかどうかを事実と照らし合わせて判定することができます。事実と照らし合わせてモデルの正しさを確かめることができることは、科学にとって最も大切な条件です。

このように、高校までの勉強では、社会現象を数式で表現して理解するということはなかったと思いますが、実はこれは社会現象を理解する重要な方法の1つなのです。そして、数学の学習をしっかり行っておくと、このようなモデルによる経営の分析を理解しやすくなります。

モデルを使って経営を分析する分野はたくさんあります。神戸大学経営学部が提供している授業科目で言うと、まず1年で学ぶ基礎科目の「市場システム基礎論」は、市場システムをモデルによって記述し、説明する基本的な方法を教えています。上で例として述べた野菜の出来高と値段のモデルは、この科目が論じるモデルの1つです。

専門科目では、企業の資金調達を研究する「コーポレート・ファイナンス」、人間行動の説明原理を研究する「ゲーム理論」、多国間の取引を説明する「国際貿易」、貿易で取引されるモノの輸送行動、あるいはビジネスマンや旅行客の移動行動を分析する「国際交通」、企業が必要とするお金を市場で直接調達する方法である証券の取引や価格を研究する「証券市場」等々、多数あります。

さらに、神戸大学経営学部の教育の特徴である少人数ゼミでも、これらの分野の科目を担当している先生方が開講していますので、皆さんが自ら数学モデルを展開・活用して経営学の研究をすることができます。

実は我が国諸大学の経営・商学部の中で、神戸大学経営学部ほど、数学的能力を生かす領域の研究・教育が充実しているところはないかもしれません。その意味でも、皆さんの数学的能力を活かす機会は多様にあると言えます。

もちろん、入学後は、英語や国語など、数学以外の勉強も必要となりますから、受験勉強で培ったことは必ず役に立ちます。受験勉強は大変ですが、入学後に役立ちますから、しっかりと取り組んで下さい。