製品開発と市場創造

著者名 宮尾学 著
タイトル 『製品開発と市場創造』
出版社 白桃書房 2016年6月
価格 3800円 税別

紹介

この本は,製品開発による市場創造を製品評価の枠組みの再定義という視点で捉え、そのための諸条件と実際のプロセスを分析したものです。近年、日本の製造 業の多くが製品のコモディティ化に苦しんでいます。この問題に対する処方箋のひとつが市場創造なのですが、それには特有の難しさがあります。この本では、その難しさは市場創造型製品では製品評価の枠組みを再定義しなければならないことに起因している、と考えました。評価枠組みが変わらなければ、その中でより良い製品を目指せばよいのですが、評価枠組みを再定義する場合、開発に関わる人々は自らが寄って立つ枠組みを壊して再構築しなければなりません。そこに 難しさがあるわけです。

本書では、この難しさを乗り超えて市場創造を成し遂げた3つの事例について、 技術の社会的形成アプローチという方法でその詳細を記述・分析しています。そこから明らかになったことは、1)組織内での製品開発ではイノベーターによる 説得が重要な役割を担うこと、2)市場では新たな枠組みの提示だけでなく、消費者の反応と生産者のさらなる反応という後に続くプロセスが重要な役割を担う こと、3)そして両者が複雑に相互作用していること、の3点です。また、少し専 門的になりますが、方法論的な問題についても論じています。

この本は、私の博士論文をベースに事例の追加と記述の見直しをして出版したものです。専門書ではありますが、企業で製品開発やマーケティングに携わる方にとっても役立つものだと信じています。ぜひ、多くの方に手にとっていただければ幸いです。

目次

第1章 問題意識
第2章 先行研究の検討
第3章 リサーチ・クエスチョンと研究方法
第4章 着色汚れ除去ハミガキ市場の形成
第5章 健康茶飲料市場の形成
第6章 高級炊飯器市場の形成
第7章 考察
第8章 結論とインプリケーション