フラット型組織の人事制度


著者名 奥林康司 平野光俊 編著
タイトル フラット型組織の人事制度
出版社 中央経済社 2004年4月
価格 2400円 税別

書評

近年の企業経営における組織の改革のキー・コンセプトは、「ピラミッド型」と対比される「フラット型」であり、人事制度はそれと適合的に再設計されつつある。たとえば、フラット型組織では、管理職昇進に替わる新しいインセンティブ・システムが必要となる。専門職制度や役割等級制度など新たな社内序列の再構築や、成果と報酬の結びつきを高める目標管理制度などはその工夫である。同時に、組織のフラット化にともなう成果主義による規律づけは、社員の職務選択の自由度を高めることによって補完する必要がある。それゆえ社内公募制度などキャリア選択の決定権を社員の側に担保する施策が整えられる。また意思決定の分権化は、人事権のライン分権化も促すから、管轄を超える異動は自らの主体性に基づいて行われる必要がでてくる。したがって自律型キャリア意識の醸成が要請される。自律型キャリア意識の向上は他社でも通用するエンプロイヤビリティへの関心も高める。また社内序列のフラット化は働き方や会社への貢献のあり方の多様化を促す。女性の活躍推進やパートタイマーの基幹職任用などジェンダーや社員区分の垣根を低くする人事施策も積極的に行われる。福利厚生制度も人材タイプの多様化に対応させて、メニューを増やしながら利用の自由度を高めようとする。本書は組織のフラット化の進展にともない、新たに普及してきた人事制度をケース・スタディとして取り上げる。

目次

序 章 フラット型組織の現代的意義
第1章 ダイエーの契約区分制度CAP
第2章 テイジンの女性活躍推進とWINDプログラム
第3章 イオンの戦略連動型人材開発制度
第4章 日東電工の自立型人材育成制度
第5章 三菱電機の役割等級制度
第6章 日本アイ・ビー・エムの専門職制度
第7章 UFJ総合研究所のプロジェクト・チーム制度
第8章 ベネッセコーポレーションのカフェテリア・プラン
索引