神戸大学ビジネススクールで教えるコーチング・リーダーシップ


著者名 伊藤守 鈴木義幸 金井寿宏
タイトル 神戸大学ビジネススクールで教えるコーチング・リーダーシップ
出版社 ダイヤモンド社 2010年9月
価格 1890円 税込

書評

神戸大学のMBAでは、2008年より、コーチングの世界で名高いコーチ・エィの伊藤守氏と、鈴木義幸氏とわたしとで、正規のMBA科目として、コーチングを毎年とりあげています(今年の11月には、名古屋市立大学の奥村哲史教授とともに、MBAネゴシエーションという科目もスタートします)。受講生の皆さんとともに、わたし自身も伊藤氏と鈴木氏から直々にコーチングを学べるので、非常に贅沢かつ幸せなことだと思っております。

講義の場に居合わせて、ライブで五感を通じて感じたこと、気づいたこと、議論したことまで、書籍では書けないので、やはり神戸大学のMBAに入学していただきたいと思うけれども、同時に、このコースから書籍ができないかという希望もありました。そこで、ダイヤモンド社の編集担当の方にお声をかけて、この書籍が誕生しました。『人勢塾』のときは、研究会での出来事を書籍化する試みでしたが、今回は、MBAの科目を書籍化する企てとなりました。前回も苦労しましたが、今回も仕上げまで難航しました。しかし、単著の学術書は、どこかで身を削るように書いているので、苦行のような側面がありますが、難航したとは言っても、共著者がおふたり、そして編集者とライターの先生がおられるのでチームで作業している喜びがあります。前回の『人勢塾』では、本の3頁、「はじめに」のところで、神戸大学経営学研究科と現代経営学研究所をベースとしてその書籍が生まれたことを出版社が記述してくれましたが、今回は、タイトルに「神戸大学で教える」とずばり入れてくださったので、そのようなことも喜んでいます。

リサーチで始まり、コーチングに入り、リサーチで終わるというコーチ・エィのアプローチは、どこかでわたしたちが組織行動論でもアクション・リサーチでおこなおうとしていること、あるいはわが恩師、エドガー・H・シャインが、プロセス・コンサルテーションや支援学(helpingの学)で実現しようとめざしていることとも重なります。コーチングの正体(コーチングとは何であるのか)、コーチングの基本、コーチングの作法や技法(技術的側面)、個人レベルでなく企業レベルでのコーチングの導入例、支援学との関係、今後ますます注目されつつあるエグゼクティブ・コーチングについて、学んでください。実際的でありながら、エビデンスベーストであり、今後リサーチ機能も高めようとされる伊藤氏、鈴木氏にも、神戸大学でのMBAという場がいい職場になっていたら、わたしとしてもうれしいことです。

なにはともあれ、いちばん大切なのはこれから生まれる読者ですから、読者の皆さんから聞こえてくる声があれば、それを大切にして、これからの組織行動論、コーチングのことを、読まれた皆さんとともに考えていきたいです。

目次

第1章 組織行動論とコーチングから新しい日本のMBAが生まれる(金井)
第2章 コーチングとは何か
第3章 コーチングの基本
第4章 コーチングの技術的側面
第5章 企業におけるコーチング導入の成果とエビデンスベースのコーチング
第6章 企業の導入事例
第7章 支援学(金井)
第8章 エグゼクティブ・コーチング

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