日本の新規開業企業


著者名 忽那憲治 安田武彦 編著
タイトル 日本の新規開業企業
出版社 白桃書房 2005年6月
価格 3200円 税別

書評

新規開業という行為は企業家活動(アントレプレナーシップ)の重要な側面を構成している。しかし、わが国における新規開業の現状を見るとき、長らく停滞した状態が続いていると言わざるをえない。中小企業庁の『中小企業白書』や国民生活金融公庫総合研究所の『新規開業白書』から開廃業の推移をうかがうことができるが、 1996-1999 年の数値では、廃業率の 5.6% に対して開業率は 3.5% にすぎず、開業率が廃業率を大幅に下回る状態がここのところ恒常化している。開業率が 10% を上回るアメリカやイギリスと比較するとき、わが国の現状は、開業率が 4% 弱と国際的に見ても低水準であることに加えて、廃業率を下回っているという極めて深刻な事態にある。

企業家活動、なかでも新規開業企業に関する研究は、欧米においてはここ 20 年でかなりの蓄積を見るに至っており、そうした学術研究の成果が政策にも反映される形で当該国における企業家社会の構築および経済の活性化に貢献している。一方、このような欧米の状況とは対照的に、わが国においては新規開業企業や企業家(開業者)についての研究・分析は欧米からかなりの後れをとっている。わが国では新規開業企業や企業家に関する実態把握が必ずしも十分ではないとの認識に立ち、中小企業総合研究機構の調査プロジェクトとして研究会を組織し、今回 2 つのアンケート調査を実施することにした。 1 つは、 1995 年から 1999 年の 5 年間に設立された新規開業企業を対象に 2002 年 11 月にアンケート調査を実施した。同調査の対象先企業は、東京商工リサーチのデータベースから1万社をランダムに抽出した。有効回答数は 1141 社であり、回収率は 11.4% であった。もう1つは、イギリスのノッティンガム大学ビジネススクールのポール・ウェストヘッド教授の協力を得て、イギリスと同じ質問票を用いての事業主に関する実態調査を実施した。各都道府県別・産業部門別の企業構成比を「事業所統計」から算出し、この比率に従って東京商工リサーチのデータベースから 7000 社をランダムに抽出し、 2002 年 10 月にアンケート票を送付した。有効回答数は 571 社であり、回収率は 8.2% であった。本書では、この 2 つのアンケート調査によって得られたデータをもとに、さまざまな視点から分析を行っている。

目次

第 1 章 開業者のプロフィール
第 2 章 開業者のパートナーシップ
第 3 章 開業者の労働時間
第 4 章 新規開業企業のパフォーマンス
第 5 章 取引関係とパフォーマンス
第 6 章 新規開業時の資金調達
第 7 章 メインバンクの形成
第 8 章 研究開発-外部研究機関との連携と補助金の活用-
第 9 章 政策金融の活用
補章  企業家タイプと企業家活動