やる気!攻略本
著者名 | 金井壽宏 |
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タイトル | やる気!攻略本 |
出版社 | ミシマ社 2007年2月 |
価格 | 1500円 税別 |
書評
意欲、やる気、がんばり度合いを表す言葉がモティベーションで、それは、およそひとが何事かに打ち込む限り、どのような場面でも生じています。仕事の世界だけではない。子供のときから、始まっています。模型を一生懸命作ったり、野球に打ち込んだり、お茶の修行をしたり、それから勉強もがんばるかもしれません。一定の方向に努力が投入され始め、それがある強度をもって持続する現象が、モティベーションです。経営学の中でも、仕事意欲(ワーク・モティベーション)が問題となりますので、「やる気」は、重要なテーマのひとつです。にもかかわらず、なぜかわが国の経営学者の間では、本格的な研究が少ない分野になってしまっています。そのことを気にかけるひとがいても、適切な書籍がないと思ったので、NTT出版から前著『働くみんなのモティベーション』(PHP 新書)を2006年に出してもらいました。そこで(1)モティベーションは時間軸に沿って山あり谷あり、アップダウンの起伏があるダイナミックなプロセスであること、(2)アップダウンの変曲点、つまり登り調子に転じるところ、下降局面にさしかかるところについて、その理由、状況を語られること、(3)変曲点の理由付けの言葉を探れば、やる気の持論(実践的なセオリー)がもてるようになり、(4)持論をもてば、ある程度、やる気を自己調整できるようになる、(5)リーダー格になるころには、自分のやる気を自己調整できるだけではなく、周りのひとを元気づけ動機づけることができるようになる必要があること、などを述べました。
しかし、たくさんの学術的な理論の説明も行いましたので、けっして読みやすい本ではありませんでした。実際、大塚製薬にお勤めの長年の知人は、「この本を読めるぐらいなら、やる気に問題ありませんよ」と言われてしまいました。そこで、わたしとしては、初の試みですが、もっと広く、やる気を考えたいひと、それこそ高校生や、今やる気を少し失いかけている若いひと皆に、願わくば、フリーターやニートのひとにも読んでもらいたいと思って本書をつくりました。すばらしいライターの木村俊介氏との共作です。
わたしにとっては新境地ですが、学術的な書籍とは大きくかけ離れているので、とまどうひとがいるかもしれません。通常以上に読んでくださったひとの感想が気になる一冊が、この『やる気!攻略本』です。前著を読まれた方には、緊張、希望、持論と述べてきたものは、本書では、緊張力、目的力、言葉力となっています。モティベーションの持論は、キーワードの箇条書き(と箇条書きの項目がなぜキーとなるのかの簡単な説明)があれば十分と思っているのですが、本書では、言葉力は、文字通り、やる気の持論についての作文となっています。MBAの方々は、自分のがんばりようを内省されるには、難しい方のNTT出版の書籍を、(中学、高校以上なら)お子さんとも話し合いながらやる気について実践的に考えたい場合には、本書も手にとってくださったらうれしいです。
目次
1 自分の「やる気!」
1 「自分の方針」を把握しよう!
2 「目的力」という「やる気!」を手に入れよう!
3 「緊張力」という「やる気!」を手に入れよう!
2 周りの「やる気!」
1 周りの「やる気メカニズム」を把握しよう!
2 「関係力」という「やる気!」を手に入れよう!
3 「基礎力」という「やる気!」を手に入れよう!
4 「言葉力」という「やる気!」を手に入れよう!
3 「やる気!」語録