企業間信用と銀行借入の代替性・補完性
要約
本稿の目的は、企業間信用と銀行借入の代替性と補完性について、既存研究を批判的に検討し、新たな分析の可能性を示すことである。既存研究では、企業間信用と銀行借入の相関関係を調べ、その正負を補完性・代替性の証拠としていた。しかし、代替性・補完性がすべての企業に一律でなければこの手法は適当でない。本稿ではこの問題を指摘するとともに、実際の企業の財務データを用い、現実にも代替性と補完性はどちらかが常に一律に見られるものではないことを示した。本稿の結果は、従来の分析手法の欠陥を明らかにするだけでなく、企業ごとの代替性・補完性を分析するという新たな可能性を示唆している。
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