日本企業の「スター社員」に関する実証研究: 人的資本、社会関係資本、心理的資本の視点から
2018・16
要約
本研究の目的は、企業のなかで平均をはるかに凌ぐ成果をあげるスター社員に注目し、日本企業にもそうした人々が存在するとすればそれはどのような人たちであるのか、ということを実証的に明らかにすることである。より具体的には、スター社員の集合とそれ以外の社員の集合を分かつ要因とは何かということを明らかにする。本研究では、まず欧米で展開されてきたスター社員研究をレビューし、それがどのような社員を対象に、どのような議論を展開してきたのかを確認する。その上でスター社員とそれ以外の社員を識別する要因として、社員たちが保有する種々の資本(人的資本、社会関係資本、心理的資本)に注目し、それらがどのようにスターであることに関係するのかということを議論し、仮説を導出する。レビューに続いて、日本企業14社全377名のサンプルを対象とした調査を行い、そこで抽出された68名のスター社員、309名の一般社員のデータを用いて、上記の点を検証する。分析の結果明らかになったのは、(1)単発の業務における高業績社員とは基本的には別の集合であること、(2)スター社員とそれ以外の社員とを識別する要因は、何よりもまず彼らが有する心理的資本である、ということである。本研究では、スター社員が単発の評価によってではなく、より長期にわたる社内の評判形成の結果として創発するという点からこうした結果を解釈している。最後に、欧米の先行研究に対する含意、日本企業に対する含意について議論する。
Abstract
The purpose of this research is to empirically clarify who is the “star employees” belonging to Japanese companies. More specifically, how the influence of human capital, social capital, psychological capital on being a star employee. In this research, we first review the star employee researcheswhich has been deployed in Europe and the United States, and confirm what kind of discussion has been developed. Then, we pay attention to various capital (human capital, social capital, psychological capital) possessed by employees and its influence on being a star employee. Following the review, we conduct a survey research of 14 Japanese companies with 377 samples. 68 of the 377 people are star employee samples. The results of our analysis revealed that (1) the group of high-performance employees and the group of star employees are fundamentally different each other, (2) the factor that distinguishes star employees from other employees is psychological capital. In this research, we interpret these results from the point that star employees emerge as a result of long-term reputation game instead of short-term evaluation game. Finally, we will discuss the implications of previous research and its implications for Japanese companies.
キーワード: スター社員、人的資本、社会関係資本、心理的資本
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